須田幸英税理士事務所 事務所通信 平成25年8月号掲載
社会保障制度改革国民会議
 新潟県においては6月18日に梅雨入りしましたが、8月3日にようやく梅雨明けとなりました。梅雨も作物にとっては大切なものですが、最近の天候は「今まで経験したことのない」程、極端なことが多いような気がします。山口県、島根県の豪雨が報道されてから数日で、新潟県にも甚大な被害が発生しました。毎年この時期のこのコーナーで災害について書いているので、今回はこれで止めておきますが、一刻も早い復興を願ってやみません。

 さて、消費税率が8%となるまで、あと半年あまりとなりましたが、今回の改正においては消費税収入の使途は「毎年度、制度として確立された年金医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費(社会保障4経費)に充てる」ものとされています。

 ところが、消費税論議だけがなされて、社会保障の議論はいっこうに聞こえてきませんでした。しかし、ようやく社会保障制度改革国民会議の最終報告書案が出てきました。主な内容は医療(70〜74歳の医療費窓口負担を2割に引き上げ、国民健康保険の運営を都道府県に移管、病院機能の再編とかかりつけ医の普及、大企業の健康保険組合の負担増)、介護(要支援の人を介護保険のサービス対象から外す、高所得者の自己負担の引き上げ)、年金(支給開始年齢の引き上げ検討、高所得者への課税強化)、少子化対策(育児休暇中の経済的支援検討)等です。

 かなり評価できるものもありますが、要支援の人を介護保険のサービス対象から外し市町村に移管することはいかがなものかと思います。市町村においてはボランティア等の活用が想定されているようですが、現実問題として、子供がまだ働き盛りの場合、だれがどうするのかという問題に直面するからです。最悪仕事を辞めて介護に専念せざるを得なくなっては本末転倒で、経済的に困窮することが目に見えます。

 そもそも今回の消費税増税は、社会保障4経費が今後の社会において増大することを前提に、国民が安心して老後を過ごせる社会の形成が目的ではなかったのではないでしょうか?
消費税率を、8%にする、更に10%にする、軽減税率がどうのこうのという税法の細かい議論ばかりでなく、使途も含めたもっと根本的な問題に目を向ける必要があると思いますが、いかがでしょうか?
                所長 須田幸英
 事務所通信8月号掲載
トップページへ 所長の一言トップページへ